孤独のプロ野球

『感情をむき出しにするつかの間の自由を 求め、誰にも邪魔されず、気を使わず 孤独にプロ野球を楽しむ。』 基本、一人気ままにプロ野球 (主にジャイアンツ戦)を楽しむ 筆者の日常を交えながら展開するブログ。 バリバリの文系出身。 勝てば喜び、負ければ凹む。野球を語るのはおこがましいと思いつつ、 感情の赴くままにド素人なりの戦評&雑感を展開。 2013年8月よりスポーツナビ+でスタート。

さらば、鈴木尚広!突然の引退劇に思う、『心が離れていった』理由とは?

今週のオレは猛烈に疲れ切っていた…。

先週末は東京ドームでCSファーストステージを3試合現地観戦。公約通り、バックネット裏で観戦していた割には、いつもより力強く応援していた。声をあげ手を叩きまくっていた影響?連休明けの体は応援し過ぎた疲労感とジャイアンツが負けた虚無感でボロボロ。僅かに残った気力で仕事をこなすしかなかった。

そんな感じで昨日、帰りの電車に乗り込むと同時に(寝て帰ろう)と座席に座り、目を閉じた。とにかく眠い。体もぐったりして何もする気が起きない。そんな状態。すると、オレの隣に誰かが座ってきた。目を閉じていても香る甘~い石鹸のような匂い。(あっ、コレは若い女子だな?)と思い、目を薄く開けてチラ見してみると、髪を金髪に染め、今ドキファッションのレザーJKにスカートスタイルの女子らしき方が座っていた。

そこでオレは思った。(疲れた体を癒すようないい香りを漂わせるこの女子の顔が見たい!)…と。こんないい香りをする女子はきっとカワイイに違いない。百歩譲ってそうでなくても、オレは(いい匂い)がする女性には評価が甘い。眠気を忘れ、この人の顔をチェックしたい!そこに興味が湧いてきた。タイミングを見計らって拝んでやろう!と思っていたら、そのチャンスは意外に早く訪れた。電車が走り出して2駅目で、座席から立とうとする気配あり。そのチャンスを逃してはならない。そう思い、目をぱっちりあけて、(アレ~?寝ちゃったけど、ここは何駅なの?)という演技をしつつ左右を見渡すように首をグルングルン振り、ついにそのお顔チェックに成功!したのですが…。

(顔が阿部サダヲみたいじゃん!)

えっ、もしかして、男(しかもオッサンぽい)が女装してる?今ドキスタイルのおかっぱ頭に、顔は阿部サダヲ似のおっさんやん!うぇ~、オレはこの人の匂いにうっとりしていたのか~!?

この事実を知った瞬間、吐きそうになった。それぐらいびっくり仰天した。東京って、色んな人がいるよね。恐るべし、東京砂漠!…とびっくりしたことがありましたが、今朝はそれに追い打ちをかけるようなビックリニュースが飛び込んできましたね。

ジャイアンツ一筋20年、代走のスペシャリスト・鈴木尚広が引退!?

(はっ?)と目を疑う。ネットでジャイアンツ関連のニュースを見ていたら、真っ先に飛び込んできた。あ~あ、これで由伸監督に続き2年連続で生え抜きスターがシーズン終了直後に電撃引退かぁ。正直、非常に寂しい。引退という区切りをつけるタイミングは選手自身なので仕方ないのですが、辞めるならせめて公式戦終盤に言ってよ~。チームに貢献した選手が引退するのは寂しいが、事前に告知されていた方が消化試合だって盛り上がるはず。(尚広、ラストラン!)とか言ってね。公式戦で引退興行もないまま、シレ~っと選手を退くのは非常に残念。夕方17:00頃、記者会見があったようですね。その内容をじっくりチェックしたら、気になることが書いていました。

「正直、体力、技術は僕の中では上がってます。それに対して、自分の心が離れていった。」

それから、

「心技体、どれかひとつ欠ければ勝負はできません。」

とも言っていたようですね。

この発言から読み取ることは、(選手としては来年もヤレる自信はあるけど、気持ちが萎えてしまった。)という感じなのでしょうか?今年38歳になるベテランですが、そのストイックなまでのトレーニングと体のケアで年々走力が上がっていると語っていた尚広。その言葉通り、今年も走る姿をみても(衰えたな)とは微塵も感じなかった。では、何故?引退を決断するまで心が離れていったのか?ここからは、自分の推測を書かせていただきます。

まず、シーズン途中、いただいたコメントや周りの方々の意見でハッと気がつきましたが、鈴木尚広という選手は原前監督の采配だから生きた選手だということ。2009年あたりから(代走のスペシャリスト)というポジションにさせられたはず。その当時、本人だってまだレギュラー奪取を諦めていた訳ではないはずですが、亀井、松本、長野と自分より年下の選手が台頭してきたため、ますますレギュラー奪取が遠のく。その結果、原前監督に与えられた(代走のスペシャリスト)のポジションを自分で確立。その後、原野球に必要不可欠な存在となった。ここまでは、皆様ご存知の通り。

だが、今年から監督が代わった。長年、選手として尊敬し接していた由伸監督。多くのジャイアンツファンは原野球の継承をしてくれると勝手に思ったはず。自分もその一人でしたが、シーズン始まって蓋を開けると…、それは思い込みだと気づいた。ま~ったく引き継いでいない!って云うか、ベンチで何してんの?と疑うぐらい攻撃に関しては何もしない。そう、選手引退から即監督になった由伸監督は、原前監督と比較するには酷な感じの地蔵スタイル。シーズン当初、尚広がベンチにいても、使う状況すら判断できない感じ。

それから、一番がっかりさせられたのは、尚広を代走に起用したその後の采配でしょうね。次の打者に始めから送りバントをさせるスタイル。これは…どうなのかな?疑問を抱く意見が多かったと記憶しています。でもね、しゃ〜ない部分もある。いきなり監督やってくれと言われても簡単に出来ないよ。原野球の継承って言っても、何にも引き継ぎらしいレクチャー受けてないしね。なので、由伸監督がめちゃくちゃ悪いという論調でないことだけは了承してください。

接戦となった試合の終盤。1点を奪うためにノーアウトでランナーが出塁。ここで代走に尚広を起用の場面。原前監督だって、送りバントで尚広を進める采配はあった。ただ、バントで尚広を進めるにしても、走らせるようなサインを出したりして、相手に揺さぶりをかけたはず。時にはランエンドヒットもあったよなぁ。尚広が盗塁せずとも、その脅威を利用して相手に揺さぶりをかける。そんな采配もちょいちょいあり、彼が出てくるのが楽しみで仕方なかった。そう、去年までは…ね。

一方、今年から突然監督になった由伸監督の采配は、良くも悪くも正直過ぎた。尚広を代走で起用しても、いきなり次のバッターに送りバント。相手を揺さぶることもなく、バントの構えを命じるその采配に最初は何か考えがあると思った。ただ、時間が経つにつれて、それは(確実にランナーを進める)という単純…いや、堅実な策だと判明。う〜ん、それでは(代走のスペシャリスト)をランナーに使う意味がないのでは?そう思い始めた。

しかし、今シーズンの尚広は全く盗塁をしなかったのか?というと、そうでもない。2016年は44試合の出場機会で10盗塁。去年と比較しても65試合で10盗塁。むしろ出場機会が減って盗塁数は同じ。凄いんじゃね?と思うのですが、その数字より盗塁した内容が大事な気がする。2015年の原前監督が指揮していた盗塁の内容はシビれる場面で決めた印象が強いが、今年はそんなに走ってた?というほど印象が薄い。その差は非常に大きかったと思います。

7月ごろだったでしょうか?出場機会が減り、たまに代走で出てきても送りバントで進塁する尚広をみてこう思った。これは書きそうになる寸前でやめたのですが、

(この使い方だったら、尚広は必要ないんじゃね?)

これは非常に失礼な意見なのですが、そう思った方もいるのでは?今年は起用するタイミングも悪く、出場機会も減った。一塁に置いても、ただ普通にバントで進塁させるだけなら、他の足の速い選手と変わらない。それなら、尚広の枠を若手野手や中継ぎ投手の枚数を増やす枠に充てるべきでは?これは鈴木尚広という選手が悪いというより、チーム戦術を考えた際、特に尚広でなくては務まらないという訳ではないと思えたから。まぁまぁ足が速い控え選手で言えば、例えば吉川でいい。松本哲でもいい。走塁技術というなら、尚広の域まではいかないけど、寺内だって悪くない。そう考えると、尚広の存在意義って何?と思えてきた。まぁ、それまで築いた(足が速い、走塁技術がハンパない)というブランド力はあるけど、使い方があんな感じだと、いくら凄い力があるとしても輝いて見えないのでね。

こんなド素人でもふと思ってしまう起用法の?を、尚広本人だって考えたのではないでしょうか?そして考えているうちに(あれ?オレって今のチームに必要?)と少しでも思ってしまったから、技術と体力は向上していても心が離れたのかなぁと推測してみました。誰だって、勘違いかも知れないけど、チームや組織から必要とされていないと思ったら、心が乱れるはず。そんな隙があったから、尚広は引退を決意したのかなぁ。一瞬でも自分とチームを疑ったことも許せなかったのかな?彼はストイックだからね。最後のプレーがCSファーストステージでの牽制死というのも残念ですが、ある意味記憶に深く刻み込まれたプレー。常に試合に出ていた訳でもないのに、何だか記憶に残る選手。そんな尚広らしい終わり方だったのかも知れないですね。

自分が尚広の活躍で思い出すのは2008年・メークレジェンドで13ゲーム差を逆転した時の活躍。足で魅せたことも印象的ですが、バットでもチームに貢献。日シリでもちょいちょい打っていた気がする。それから、近い記憶では2014年の優勝に代走で貢献したことでしょうかね。この年の7/15の試合、(神の手)と呼ばれたキャッチャーをかいくぐるベースタッチに驚愕!現地観戦で間近で観ていたけど、一瞬過ぎてアウトか?セーフか?分からなかった。おまけに審判の紛らわしい動きで、サヨナラ勝ちの興奮が半減した試合だったが、とにかく尚広が凄かった試合と記憶に残っている。その試合の困惑ぶりは当ブログのアーガイブに残っているので、お時間ある方はチェックして下さい。また、走力だけが注目されがちですが、たまに機会があるここ数年の守備も凄かった。レフト線の打球への反応の速さとフェン直後の打球処理の速さが印象に残っている。あれは、他の外野手より数段上だったなぁ。地味だけど、外野の守備に入る尚広も好きでした。

9月の終わり頃の試合で、通算200盗塁以上の選手では最も高い盗塁成功率.8290をマーク。エラい持ち上げられていましたが、自分は敢えて触れなかった。なぜか?というと、来年も現役を続けるはずだから、盗塁失敗だってあるだろう。そうしたら、今はしゃいでいる数字だって変わるはず。引退するまでこんな数字、あてにならんよ。…と思っていたのでね。まぁ、この数字は記録に残るから良いのかも知れませんが、来年もあの雄姿が観たかった。本人にはプレッシャーだった?(走れ、走れ、タカヒロ!)を叫びたかった。やっぱり、寂しいなぁ。

鈴木尚広選手、20年の現役生活お疲れ様でした。出来たら、次はジャイアンツのコーチとして盗塁技術が高い選手を育てて欲しいと願っています。

では、また。